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フジイ流「誠心誠意」って?

フジイが大切にしてきた言葉のひとつに、経営理念でもある「誠心誠意」があります。 まっすぐで美しい言葉だけれど、ともすると少し抽象的にも聞こえてしまう言葉ですが、フジイの会長・藤井哲郎は、この言葉をどんなふうに受け止めているのでしょうか。 理念として掲げるだけではなく、会社としてどう向き合い、どう伝え、どう働くことにつなげていくのか。今回は、フジイの広報担当が会長に、その中身を聞きました。

Q1 まず、会長は「誠心誠意」という言葉を、
どんなふうに受け止めていますか。

理念は、きれいに語ることより、どう動くかが大切なんです。

会長
  経営者の人の中には、理念や思想を大きく語る人もいらっしゃいますが、正直に言うと、私はあまり観念論にのめり込むタイプではないんです。そういう世界にどんどん入っていくと、きりがないと思っているんですよ。どこからどういう言い方が正しいとか、どう考えるのが美しいとか、そういう話ばかりしていても、現実の経営は前へ進まんでしょう。

もちろん、理念がいらんということではないんです。

ただ「誠心誠意」という言葉は、飾っておけばええというものではない。結局は、それをどう行動に落としていくかやと思うんですよ。言葉だけきれいでも、やっていることが伴ってなかったら意味がない。私はそういうふうに思っています。

 

 

Q2 きれいごとではなく、行動に落とす。
具体的には、どういうことでしょうか。

背伸びはしてもいい。だが、大風呂敷は広げない。

会長
 たとえば、会社のことを発信していくときもそうです。こんな会社なんですよ、こういうことを大事にしているんですよ、というのを伝えていく。そこには多少の背伸びがあってもいいと思うんです。少し先の自分たちを見せる、という意味ではね。

でも、大風呂敷を広げたらあかん。それは違う。自分たちが今できることには限りがあるわけやし、その範囲の中で、きちっと事実を伝えていく。無意味に隠したり、ごまかしたりせず、ちゃんと相手に向き合う。私はそこが大事やと思っています。自分たちと相手が合わないと思ったときには、断る勇気も必要です。

「誠心誠意」というのは、難しいことやないんですよ。ちゃんと会話をすることやし、素直にすることやし、相手に対しても、自分に対しても、ごまかさずにおることやと思うんです。
無理に立派に見せようとせんでもええ。きちっと向き合う。その積み重ねの中に、この言葉の意味があるんやないですかね。

 

Q3 理念を掲げるだけでは会社は続かない。
ということでしょうか。

利益は、理念の反対側にあるものではない。

会長
 そら、そうです。経営者は、そんな綺麗ごとだけではやれません。会社を続けていくには、やっぱり採算が合わんとあかんし、利益も出していかんといけない。そこを見ずに理想だけを言っていても、結局は続かないですから。

私は利益を出すことそのものが悪いとは思っていないんです。むしろ、会社がきちっと利益を出して、それを社員さんにどう返していくか。そこまで考えて初めて経営やと思っています。

企業である限り、何を作るにしても、それを損益に落とし込んで、仕組みとして回していかんと、理論だけで終わってしまう。企画もマーケティングもものづくりも、全部含めて事業にしていかんとあかんのです。

 

Q4 会長はよく「無駄を省く」という話もされます。
それも誠心誠意につながっているのでしょうか。

無駄を減らすことで、効率よく働く。そして自由な時間をつくること。

会長
 そうですね。私は、無駄はやっぱり省いていったらいいと思っています。ただ、それは人を締めつけるためやないんです。時間を短くできるなら短くしたらいいし、8時間かかっているものが6時間でできるなら、その分早く帰ったらええ。

人生の時間というのは限られているんやから、ただ会社に縛られるだけではもったいないでしょう。  

私は、社員さんにもここで嫌々働いてほしくないんですよ。
会社の都合だけで人を縛るんやなくて、その人が自分で考えて、自分の人生を歩んでいく。その土台になるような会社であったほうがええと思うんです。 最近では、みなさんに「健康経営」という言葉で、会社の方針を伝えるようにしています。

 

 

Q5 そう聞くと、会長の考える理念は、
会社のためだけのものではない気がします。

理念は、人を縛るための言葉であってはならない。

会長
 そうかもしれませんね。私は、理念というのは、社員さんを縛るための言葉になったらしんどいと思うんです。こうしなさい、ああしなさいと上から押しつけるためのものではない。

むしろ、その人が自分で考えて、自分の人生をどう歩むか、そのときの土台になるようなものであってほしいんです。
議論することも大事やし、自分の意見を言うことも大事やし、相手の話をちゃんと聞くことも大事。
そういう当たり前のことを、会社の中でもちゃんとできるようにしていく。

「誠心誠意」というのは、従順であることとは違うんですよ。自分をごまかさず、相手にもごまかさず、きちっと向き合うこと。その意味では、会社の理念というより、人としての態度に近いのかもしれません。


 

Q6 発信という点において、
これからのフジイに必要なことは何だと思われますか。

正しい情報を出すことも、誠実さのひとつ。

会長
 やっぱり、会社のことを正しく知ってもらうことやと思います。
どうしても、世の中にはミスマッチが起こるでしょう。こちらが思っていることと、外から見られていることがずれている。そういうことはある。

だからこそ、正しい情報を出していく。「フジイはこんな会社なんですよ」と、きちっと伝えていくことは大事やと思うんです。
私が社長だった時代には、そういうところまでなかなか手が回らんかった部分もあります。
けれど、これからはちゃんと出していったらええ。無理に大きく見せる必要はないけれど、自分たちが何を考え、どういう姿勢で仕事をしているのかは、きちっと伝えていく。そのこと自体が、誠実さやと思います。


Q7 最後に、会長が考える“フジイらしい誠心誠意”を
一言でいうと、どんなものでしょうか。。

基本を、近道せずに繰り返すこと。

会長
 結局、大事なんは、続けることだと思います。難しいことを言うよりも、できることをきちんとやる。伝えるべきことは事実に基づいて伝える。間違ったら謝るし、直す。相手に対しても、自分に対しても、正しくある。そういうことを、近道せずに繰り返していく。それがいちばん大事。

背伸びはしてもいい。でも、大風呂敷は広げない。私は、そのくらいの姿勢が、いちばんフジイらしい「誠心誠意」なんやと思っています。

 


藤井哲郎(ふじい・てつろう)/株式会社フジイ・会長

社長時代に、フジイの代表的な商品「すきまくん」を立ち上げ、育ててきた人物。オーダーやセミオーダーの発想を軸に、企画・開発・設計・製造をつなぐものづくりを進めてきた。現在は会長として、フジイのこれまでとこれからを見つめている。

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